ラダーの「運転ステップ方式」

PLCを制御するための「ラダー言語」の入門講座。
今回は「運転ステップ方式」の解説をします。(※弊社の造語です)

運転ボタンを一回押したら、あとは全自動で複雑な工程をシーケンシャルにこなしていく……。
自動機システムに一番求められることはコレでしょう。

工程管理には、

  • タイマで制御する
  • 工程の順番は意識せずセンサやリミットの状態のみで判断する
  • 自己保持回路をつかう

など、色々な方法が考えられます。

その中でも

  • 自由度が高く、複雑な工程も組めて
  • いたずらに自己保持リレーを増やすことなく
  • 構造もシンプルに仕上げることができる

そんな方法が弊社の推奨する「運転ステップ方式」です。

百聞は一見に如かず。今回も完成形を掲載します。

完成形の実例

それではポイントを解説していきます。

ポイント1:運転開始はパルスと自己保持を使う

運転ボタンの立ち上がりパルスを使って、1スキャンだけ「運転開始指令」をONにします。
運転開始指令がONになったら「運転中」をONにして自己保持を取り、運転中ステータスを継続させます。
最後に全行程終了した時に「運転完了」によって自己保持を切ることで、運転中を解除できます。

※自己保持回路の解説はこちらの記事で解説しています。

ポイント2:運転ステップ=工程番号

工程を”運転ステップ”と呼ばれる工程番号で管理するというのがポイントです。

  • 運転ボタンを押した時に0に初期化して運転開始
  • 処理1が終われば運転ステップを10にする
  • 処理2が終われば運転ステップを20にする

というように順番に運転ステップをインクリメントしていき、最後まで処理が終われば運転完了信号を出して、運転中ステータスごと落とします。

ここでステップを10ずつ増加させているのは、開発中や運用後の仕様変更によって「既存の工程の間に処理を挟みたい!」という要望が出た時に、手間なく工程を追加できるための一工夫です。

この「運転ステップ方式」を使えば、自己保持用に内部リレーをいくつも消費する事なく、データレジスタ1個で管理できます。
さらにラダーの行数を減らし構造も単純化できるので、可読性の高いメンテナンスしやすいラダーに仕上がります

みんなで良いラダーを書いて、ラダーマスターになろう!